ケース6 製造業F社 タックスヘイブン税制を甘くみるととんでもないことに

★法人ブ口フィール★
F社は、プラスチックや合成ゴムなど、化学製品を製造しているメーカーである。香港に100パーセント子会社がある。工場を中国の広州地区に置き、原材料を無償供与し製品を香港子会社が全量購入している。香港子会社は製品を日本本社に輸出するほか、アジア各国に販売している。香港子会社は利益を計上しているが、日本本社には配当していない。

★調査官の目★
海外に子会社や製造工場を有する法人の調査です。海外取引に関する調査に備えて、浅利上席と白魚、調査官は海外取引研修も十分受けてきました。日本より税率の低い香港に子会社があることに着目した浅利上席、香港子会社との取引の概況を入念に聞き取り、タックスヘイブンの合算税制の適用があるのではないかと思ったのでした。

★どこが問題?★
香港子会社は設立以来、利援を計上している。その利益は日本本社に配当していないため、毎期、多額の利益が子会社に留保されている。
今回、問題になっているのは、留保された利益についてである。日本本社の利益に合算して申告する必要があると指摘されている。

★調査の様子★
浅利上席と白魚調査官は今日も税務調査です。毎日お疲れ様です。今日の事案は製造業で、輸出もあることから、海外取引調査がメインになるようです。
浅利上席と白魚調査官は、香港子会社との海外取引を中心に概況の聞き取りを実施しています。白魚調査官は話を聞きながら、申告書をめくっています。
いつもは海外を飛び回っている飛魚社長ですが、税務調査のために日本に帰ってきています。
「このたびは、ご苦労さまでございます。弊社の事業についてご説明いたしますが、最近の大きな変化として、ここ数年、インド、中国をはじめ、アジア各居からひっきりなしに注文をいただいている状況です。こうした需要に対応するため、当社ではタイやベトナム、台湾、中国に製造工場を作りました。さらに香港に100%子会社を設立したのもさまざまなニーズに迅速に対応するための統括拠点です。」
「事業が好調のようですね。で、工場の業務について、もう少しくわしく説明していただけますか」と尋ねたのでした。
「工場についてですか。各工場には日本本社から原材料を無償で供給しています。その材料を使い、プラスチックなどの製造をしていきます。こうしてできあがった製品は、各工場が販売も担当していますが、中国工場で製造した分に関してだけは、香港子会社が全量買い上げています。その半分程度は日本本社に輸出していますが、アジア各国にも販売網を広げているところです。
ところで、香港子会社は毎期多額の利益を上げられるようになりました。この利益ですが、現地での資金需要に対応するために、すべて香港国内の銀行に預金しています。
そうそう、話は脱線しますが、インドや中国は新興国と呼ばれていますが、違和感があります。だってそうでしょう?そもそも世界四大文明のうちの二つの文明の発祥の地ですよね。新興国ではなくて名門復活というか、古豪復活と言ったほうがピッタリくると思っているんですけどね」とついつい口が軽くなってしまいます。

◎白魚調査宮の主張◎
――――香港子会社協タックスヘイブン税輔が適用されるのでは拡いか。

浅利上席は飛魚社長の話を聞きながら、香港子会社を中心に調査を進めようと考え始めています。
白魚調査官は申告書を見ながら、香港子会社の利益を日本本社に合算課税する、いわゆるタックスヘイブン税制の検討をした形跡が見られないことに気がつきました。申告書に当然添付されているはずの別表がないのです。
社長が一通り工場について説明を終えたあと、白魚調査官が口火を切りました。
「外国で仕事をする機会がとても多い社長ですから知識があると思いますが、香港は日本に比べて税金の負担が著しく低い、いわゆる軽課税国ですよね。
軽課税国に子会社を置いて事業を行なっている場合、その子会社の利益のうち、配当されずに保留されたお金は、日本の親会社の収益とみなして、議金の額に算入することとされている、いわゆるタックスヘイブン税制があるのはご存じですよね?」
飛魚社長、ほんとはうすうす知っていたのですが、あたかもはじめて聞いたように、「えっ、ほんとですか。」
白魚調査官、社長の反応には答えず、淡々と次のように説明を始めました。
「軽課税国に子会社をおいて事業を行なっている場合、いわゆるタックスヘイブン税制が適用されることになります。この税制にもとづけば、香港子会社の毎期の留保利益(日本に配当されずに香港に留められている利益のこと)の額を日本親法人に合算して申告する必要があるわけです。

例外もあるのではないか?と。たしかにタックスヘイブン税制の適用が除外されるケスもありますが、4つの基準をすべて満たした場合のみです。
(1)事業基準――主たる事業が株や債権の保有でないこと。工業所有権などの権利の保有や船舶・航空機の貸付業でないこと
(2)実体基準――本店所在地固に主たる事業に必要な事務所、工場、店舗等を有すること。会社としての実体がともなっていること
(3)管理支配基準――本店所在地国において主たる事業の管
理、支配および運営を自ら行なっていること
(4)非関連者基準及び所在地国基準
イ.卸売業や銀行業などを限定列挙の対象業種のいずれかの事業を主として、関連者(50%出資会社など)以外の者と行なっていること
ロ.所在地国基準――イの対象業種以外の業種、たとえば、製造業などを主として本店所在地図で行なっていること

以上に該当すれば、香港子会社の利益を日本子会社に合算する必要はありません。
これらについて説明していただけませんか。
飛魚社長、しどろもどろになって、しばらく時間を下さいといって、穴子先生と別室に行ってしまいました。

◎飛顛社長の主襲◎
――――香港子会社は製造に関するすべての意思決定をしている。
しばらくして戻ってきた飛魚社長、自信にあふれた表情で説明を始めたのでした。
「タックスヘイブン税制とは、もともと日本で実施しでもいい事業を、あえて軽課税国で実施することにより、日本との税率の差を利用して租税回避することを防止するための制度であると私は考えています。
幣社の子会社の香港法人は製造業を営んでいます。幣社は香港には工場を置いていませんが、これは、香港は
地価が高く工場用地に適した立地もないからです。地価、人件費の安いところを求めたところ、結果的に中国の広州に建設することとなっただけです。また、法人を設立しないで単なる工場にしたかったのですが、中国の法律上、別会社にする必要があったため中国現地法人を設立せざるを得なかったものです。
しかも、中国工場での生産にかかわるすべての意思決定を香港子会社で行なっていますし、製品企画、生産企画、生産技術供与、原材料の無償供与、製品の全量引取りなどすべてにわたって、香港子会社が管理しています。
このような理由から、私は香港子会社の業態は製造業と認識しております。製造場所が中国にあるというだけで、上記
(4)のロを含め、4つの基準をすべて満たしています。タックスヘイブン税制の合算課税の適用がないと考えています。」

◎白魚調査官の主張◎
――――意思決定は香港子会社でも、製造という行為は中国子会社が行なっている。
これに対して白魚調査官も負けていません。
「確かに香港子会社は、生産にかかわるすべての意思決定をするなど重要な立場にあることは飛魚社長の主張のとおりでしょう。
しかし、製造業において最も重要な行為はまさに製造するという行為そのものです。香港子会社は製品の製造をしていません。
製造は、中国子会社が行なっているといわざるを得ない。確かに中国側の制策的な事情があることは理解できますが、現実に実存するのは中国法人としての工場です。
したがって、貴社が主張する所在地国基準には、該当しないと思います。

◎浅利上席の主張◎
――――生産委託は製造問屋卸売業にあたる。
そのあとを引き継ぎ、浅利上席が話し始めました。
「飛魚社長、香港子会社が採用している業態は生産委託方式です。この生産方式は製造業ではなく、製造問屋であると言われています。
日本産業分類によれば、製造問屋は製造業ではなく、卸売業に分類されることとなっています。
したがって、今震は所在地国基準ではなく、卸売業の観点から上記の各基準を満たすかどうかの検討をすることとなります。卸売業が、タックスヘイブン税制の適用を受けないためには、上記④のうち、イ.の非関連者基準に該当するか否かを検討することとなります。
仕入れ、売上などの取引の割合が非関連者と50%超あるかどうかの検討をしてください。」

★結論★
飛魚社長と穴子先生、再び、別室に行ってしまいました。
戻ってきた2人は、当局の説明を理解したようです。当局の指導を受け入れ、売上、仕入れ取引を過去5年にわたり調査した結果、非関連者との取引の割合が50%未満の事業年度がいくつかあったので、それらの事業年度について修正申告をしました。

★税務調査の公式★
1.軽課税国に子会社がある場合は、特定外国子会社に当たるかどうかの確認と、タックスヘイブン税制が適用されるかどうかの検討を十分に行うことが必要。
この検討は法人税申告書に添付することとされている別表に記載して行うこととされています。
なお、この所在地基準にかかわるタックスヘイブン課税につきましては、課税を受けた数社の企業が、国税不服審判所や裁判で現在争っている事例があります。
タックスヘイブン税制は平成22年税制改正でいくつかの改正が加えられています。以下簡単に記載しますが、詳細については財務省ホームページや経済産業省ホームページでご確認ください。

平成22年税制改正の概要
1.トリガ税率の引き下げ、
トリガ税率(合算課税の適用対象と在るか否かを判定するための基準聴率)を25%以下から20%以下に引き下げた。
2.適用除外基準の見直し
企業実体をともなっていると認められる事業統括会社の所鐸について、合算課税の対象外となるよう措置した0
3圃資産性所f専に対する課税等
資産運用的容所簿として外国子会社が受ける株式・債券の運用による所得住用料について親会社の所得に合算して課税することとした。

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