同族会社のための税務調査
税務調査には公式がある。
公式を理解し、上手に調査を受けよう。

国税組織の機構

国税事務を行う組織として、国税庁の下に、全国12の国税局と全国524の税務署があります。

財務省 yoko yoko

主税局

i
gandare t 国税庁 t t 国税局(11) gandare 税務署(518)
i i i i i
i to 長官官房 i to 総務部 to 総務部
i to 課税部 i i 課税部 to 税務広報広聴官
i to 徴収部 i i to 管理運営部門
i l 調査査察部 i to 徴収部 i
i i i to 徴収部門
to yoko 国税審議会 i to 調査部 to 個人課税部門
i i i to 資産課税部門
to yoko 税務大学校 i l 査察部 to 法人課税部門
i i l 酒類指導官
i l yoko 沖縄国税事務所
i
l yoko 国税不服審判所 yoko yoko 支部(12)支所(7) yoko 税務署(6)

 

Prologue

プロローグ

「リーン」電話が鳴ります。
「ハイ、株式会社海山商事です」
「こちら、磯浜税務署の法人担当の浅利です。海山商事さんの税務調査の件でお電話しました。調査の日程は来月の第一週の月曜日からを予定しています……」
電話を受けた鯖田社長、税務署という言葉を聞いただけで、後ろめたいことはないものの「ビクッ」とし、さまざまなことが頭の中でぐるぐると回転しだしました。
税務署の調査官は、そんなことはおかまいなしという態度で、一方的に用件を口にします。それが鯖田社長には、まるで潮騒のように聞こえてきます。
唯一、その中からはっきりと聞きとれたのが、「……女性の白魚調査官と二人で行きます。なお、関与していらっしゃる税理士の穴子先生にもこちらからご連絡いたしますので、よろしくお願いします」という言葉でした。
海山商事の鯖田社長は、調査官が来社するまでの1カ月間、憂鬱な日々を過ごすことになったのでした。
同じ社長として、鯖田社長がどんな気持ちでいるのか、痛いほどおわかりになると思います。
でも、社長! この本を読めば、そんなことにはなりません。
税務署が来社すると聞いて、楽しく、うきうきした気持ちになることはないでしょうが、少なくとも税務調査をしっかりと受け止める態勢はできあがると思います。
確かに税務調査に限らず、何事であれ、自分がやっていることを他人にいろいろと調べられ、質問され、それに答えなければならないということは大変なことです。
しかも、税務調査は過去のことであり、忙しい毎日を過ごしていれば、ほとんど忘れていることばかりです。経理、ましてや税務のことまで頭が回る社長はなかなかいません。
もし、本業の仕事に関してのことであれば、忘れていたとしても、知識も経験もあり、何を聞かれてもうまく対応もできるのでしょうが……。
しかし、本書を読めば、経理の専門家や税理士にはおよばないものの、税務調査とはどういうものか、という感じがつかめるようになり、得体が知れない漠然とした恐怖感がなくなります。「正しい調査の受け方」「上手な調査の受け方」がわかるようになるためです。
それでも税務調査を受けるとなると、憂鬱な気持ちになりますが、逆手をとって仕事にとってプラスになると、発想を変えてみてはどうでしょう?
社長に意見できる人は社内にはいません。たまには税務署の調査官から会社の業務について質問を受け、業務内容を見直してみるということも良いのではないでしょうか。
ところで、税務調査はどのように行われるのでしょうか。その流れを知っていただくために、本書では、税務署の仕組み、税務調査の方法、目的、一般的な調査方法などを解説していきます。
具体的に第1章と第2章では、調査を担当する税務署、国税局の仕組みや事務運営をまず紹介します。
第5章では、実際の税務調査がどのように行われたか、調査官がどのような事実関係に対してどのような質問をし、それに対して納税者、税理士がどのように答えたか、どのように事実関係を説明したかを、事例として紹介します。
読み進めるうちに、「税務調査が課税当局との法律関係であり、同時に法律問題である」ということが、わかってくると思います。
税務調査において税理士には、当局と納税者との間で日常会話用語を用いて行われる税務調査を、法律用語に翻訳して、現行法をベースに事実関係を法律論的に考える能力が求められます。
ところが、税理士の中には、「こんな軽微な誤りを否認するのか」「こんな程度の金額で重加算税を取るのはひどいじゃないか」というようなことを当局の調査官に対し、発言する方がいます。
しかし、事実関係と法律論に基づかないで行う当局との調査上のやり取りや発言は、ただの世間話です。何の意味もなく、当局も取り上げてくれません。「お気持ちはわかりますが……」と、簡単にいなされて、それでおしまいです。当局とのやり取りは事実関係をもとに法律問題として行う必要があります。「こんな程度の金額で重加算税を取るのはひどいじゃない
か」のような対応では、お客様、納税者に対して調査結果の説明も何もできません。
当局とは法令通達に基づいた、税法の土俵の中で地に足の着いたしっかりとした法律論で議論をし、その結果をお客様、納税者に対しては噛み砕いてわかりやすく説明することが求められます。
そのためには事実関係を的確に把握する、あてはまる法令を探す、法令を理解し、的確に解釈する、その上で説明し理解を得るということが必要となります。
第3章と第4章で詳しく説明します。
なお、本書は学術本ではなく、理論本でもありません。生身の納税者が税務調査にどのように対応してきたかを示そうとするものです。税務調査を通じて真理の追究をしようとするものではなく、また学問をしようとしているわけでもありません。
問題となった事実関係をどのように整理し、どのように法律論的に解釈し、当局に説明してきたかを示そうとしています。浅利上席と穴子税理士、鯖田社長とのやりとりが、税務調査への対応を考える上で、皆様の参考になればよいと思います。
早速、あなたを税務調査の現場へとご案内することにいたしましょう。

平成22年9月吉日

八重樫 巧

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